株式投資をしているとセクターという言葉を聞いたことがあるけどどういう意味なんだろう?どういう役割を持つものなんだろうということを解説します。
セクターとは、企業の主要業務に対する、産業・業種について整理・分類したもの
セクターは世界産業分類基準(Global Industry Classification Standard、GICS)による企業分類の第一項目に属しています。セクターの下に産業グループ、この次に産業サブグループと構成されています。
GICSは世界有数の指数プロバイダーであるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスと世界的金融グループであるモルガン・スタンレーの共同によって開発・設計されました。
世界中の企業を一貫して分類するように設計、また各国で採用されています。このため、国・地域・世界全体にわたって、企業・セクター・産業ごとの比較を可能としました。
最低年1回、分類結果と産業・業種とに乖離がないかを評価しています。米国ではこのGICSが決定したセクターを採用しています。
2021年現在での米国株式市場における全セクターの一覧とその特徴を下記に示します。
ハイテク Information Technology
ソフト・ハードウェアの両方を含む、IT産業に関する企業をまとめたものです。
個別銘柄にはAAPL:アップル、MSFT:マイクロソフト、INTC:インテルなどがあります。
金融 Financials
銀行や保険を中心とした貸付や保険、資産運用のサービスを提供する企業群です。
個別銘柄にはAXP:アメリカンエキスプレス、BAC:バンクオブアメリカ、JPM:JPモルガンチェースなどがあります。
資本財 Industrials
航空や鉄道、建設にかかわる企業に対する製造・販売・商業事業や、工場で使う機械設備、原料を販売する企業群です。
個別銘柄にはMMM:スリーエム、BA:ボーイングなどがあります。
一般消費・サービス Consumer Discretionary
アパレル、レジャー用品、ホテルレストランなど個人向けの娯楽品を取り扱う企業群です。
個別銘柄にはMCD:マクドナルド、AMZN:アマゾン・ドット・コム、NKE:ナイキなどがあります。
素材 Materials
化学や鉱物系製造業向けに材料を製造・開発する企業群です。
個別銘柄にはDOW:ダウがあります。
エネルギー Energy
石油ビジネスを行なう企業群で、原油価格に業績が大きく依存しています。
個別銘柄にはXOM:エクソン・モービル、CVX:シェブロンがあります。
生活必需品 Consumer Staples, Consumer Defensive
食品や日用品を製造・販売する企業群で構成されています。生活で必ず用いる商品を扱っているため、景気にかかわらず企業の業績が安定しています。
個別銘柄にはPG:プロクターアンドギャンブル、KO:コカ・コーラ、WMT:ウォルマートなどがあります。
ヘルスケア Healthcare
医薬品や医療機器に関して研究や製造・販売している企業群です。風邪や身体の不調時には医薬品に頼るのが当たり前の現代では景気に左右されないセクターになります。
個別銘柄にはJNJ:ジョンソンエンドジョンソン、PFT:ファイザー、ABBV:アッヴィなどがあります。
通信 Communication Services
ネットワークを利用した通信サービスや放送を通してコンテンツを提供する企業群です。
個別銘柄にはGPPG:アルファベット、NFLX:ネットフリックス、T:AT&Tなどがあります。
公共 Utilities
電力、ガス、水道といった公益事業を手掛ける企業群です。
個別銘柄にはDUK:デュークエナジー、SO:サザンなどがあります。
不動産 Real Estate
土地や物件といった不動産に関する開発・売買を扱う企業群です。REITもここに含まれます。
個別銘柄にはSPG:サイモン・プロパティ・グループがあります。
日本における業界分類法
ちなみに、日本では、東京証券取引所が証券コード協議会の定める33区分からなる業種分類法を採用しています。建築業、化学、機械などといった分類で、会社四季報でも採用されているため見たことがあると思います。ほかにTOPIX-17と、先の33区分を17区分へと再構築した分類方法もあります。
米国では全11セクターあり、同セクターの銘柄の株価推移は似る
セクターとは世界産業分類基準(GICS)によって企業を分類・設計されたものです。米国ではこの基準に則り、全11セクターでの分類を採用しています。生活必需品セクターでのコカ・コーラやペプシコといったように、同セクター内における企業の株価推移は似る傾向にあります。この特徴のため、世界中における企業・セクターごとの比較が可能になりました。
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