株式を購入していると聞いたことのある、配当貴族と配当王とはいったい何なのでしょうか?
連続して配当を出し続け、またその金額が毎年増加している企業のことで、継続年数によって区別されます。
配当貴族とは25年以上継続して配当金を増配している企業のことです。配当は利益の一部を株主に還元する行為です。これを25年もの間、連続して出すためには、他社を圧倒する独創的な戦略をもって、安定した収入源を持っている必要があります。逆に言えば、市場としては飽和している状況なので、企業・市場共に急成長は期待できないです。
この安定性を投資に活かすための指標として、S&P500配当貴族指数があります。これは①配当貴族であること②S&P500の構成銘柄であること③時価総額が30億ドル以上であること④1日の平均出来高が500万ドル以上であること、のすべてを満たしている企業銘柄から選定されます。
他方の配当王とは継続年数が50年以上になります。貴族よりも王のほうが地位が高い分、選定される条件の継続年数が倍と長いです。50年というと、今の2021年からすると1971年からとなります。この間には1973年の石油ショック、1985年のプラザ合意、1992年の欧州の通貨危機、2001年の米同時多発テロ、2003年のイラク戦争勃発、2008年のリーマンショック、2015年のギリシャ金融危機・米FRBのゼロ金利政策解除といった様々な世界経済を震撼させた出来事がありました。配当王になっているのであれば、この期間でも利益があったということを意味します。世界情勢の変化とは連動せず、企業独自で安定を保っています。
この増配している年数を数える基準については、暦年基準になります。最大10四半期、丸2年以上増配していなくても継続年数として加算されます。配当金額が年々上がっていればいいのです。どういうことかと言いますと、年間配当額が$3.5、$4.0、$4.5であったとします。これは毎年増配しているため、連続増配年数が3年になります。この内訳にて、前年の第一四半期が$0.5で、翌年の第四四半期が$1.5、残りが$1.0であればこの年間配当額になります。この場合、2年目では一切増配していません。大切なのは年間の配当額が増えているかどうかという点に注意してください。より詳細については【徹底解説】配当貴族・配当王に関する連続増配年数の定義とは?【米国株式】を参照ください。
こういった配当王や配当貴族になっている企業はどんなのがあるんでしょうか?代表的なのは、米国での家庭用製品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、文具・オフィス用製品のスリーエム(3M)、飲料会社のコカ・コーラなどです。これらは内需関連・ディフェンシブ銘柄が多いです。これらセクターの詳細については株式投資でのセクターとは?どういう役割を持つ?と景気状況ごとに強いセクターとは?|初心者向けの整理を参照ください。
日本では2021年時点、日用品消費財会社である花王が配当貴族になっています。
配当貴族と配当王はどちらも継続して配当を出し、毎年連続してその金額が増えている企業のことです。違いは連続年数で25以上で配当貴族に、50年以上で配当王と呼ばれます。日本では連続配当を実現できている企業が、2021年時点では花王のみで、両社に選ばれているのは米国企業が主です。日米の株式市場の今後についての予測については2021近年での株式市場における日米の比較を参照ください。継続して配当を出すには世界情勢を震わすような状況であっても利益が出ている必要があるため、これらの企業には市場の安定性が高いと言えます。一方で株価が2倍になるなどの急激な続伸は期待できません。経済的自立を目指す際には米国株式市場が適している理由については経済的自立を目指すには米国株式投資が最適|初心者のための徹底解説を参照ください。
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