ヨーグルトを始めとして、腸内の環境・腸内フローラをよくすると便秘解消や肌荒れに効果があるということがわかっています。腸は第二の脳とも呼ばれ、こちらに関する情報は色々知りたいけど、複雑なことはわからない。あるいはどうやって調べたらいいのかわからないし、そんな時間も取れない。
こんな不安に対して、本稿にて4つの最新研究の成果について、イチからわかりやすく、しかし専門的な用語を使うことなく解説します。
死んでいるビフィズス菌にも抗うつ作用に効果があること、植物性たんぱく質や酢の摂取で腸内環境を整えることができます。これらの最新の研究を簡単にまとめております。
これらの最新研究結果を知ることで、普段心掛けていることが、腸内環境にとって意外と良いことかもしれませんね。
では、これらについて一緒に見ていきましょう。
腸内環境に関する4つの最新研究をわかりやすく解説し、今後の食生活に活かせるようにする
最新研究は一般的にはわかりにくく手が届かないものです。しかし、それをわかりやすく解説されることで今後の生活向上に役に立つでしょう。何気なくやっていることが腸内環境を整えることに効果的かもしれませんね。
研究成果について見る前に、まず前提となる腸内環境について確認しておきましょう。
腸内環境とこの重要性とは?
ここでは腸内環境について簡単にまとめます。
まず腸内環境とは何か、次にこの重要性について紹介します。最後に腸内環境を整える方法について整理します。
腸内環境とは?
腸内環境とは、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類の細菌で構成される腸の状況のことを意味します。善玉菌が優勢の場合、免疫機能の向上といった身体に良い影響を与えてくれます。反対に悪玉菌が優勢の場合には有害物質の産出による肥満といった悪影響を及ぼします。日和見菌は優勢な方に加担します。
細菌の割合は年齢や食生活によって異なります。一般的には善玉菌・悪玉菌・日和見菌=2・1・7の割合がバランスが良いとされています。
第二の脳と呼ばれる腸内環境の重要性とは?
腸は脳からの指令がなくとも自発・自立的に身体の調子を整える働きをします。このことから第二の脳とも呼ばれております。
善玉菌は腸内の運動を活性化させ、脂肪の吸収を抑える働きも担っています。善玉菌が優勢になると肥満防止に効果的です。反対に悪玉菌は腸内の腐敗や有害物質を排出させる働きを持っています。悪玉菌が夕背になると同じ食事からでも吸収するエネルギーを増やしてしまい、結果肥満となることがあります。
これらのことから腸内の細菌の優勢度合いによって、身体に対して深く影響していることから腸内環境を整えることは重要です。
腸内環境を整える方法とは?
腸内環境を整える、言い換えると善玉菌で優勢にするためには、次のどちらかになります。
- 善玉菌を直接摂取する
- 善玉菌を増やす
前者の善玉菌を直接摂取する方法はヨーグルトや納豆・漬物などを食べることになります。しかし、注意点として一定期間しか腸に存在できないため、毎日少しずつ摂ることが大切です。
後者の善玉菌を増やす方法は野菜・果物・豆といった食材を食べることになります。注意点としては大量に摂るとお腹を壊してしまう恐れがあることです。
両方を合わせることで相乗的な効果が期待できます。
腸内環境に関する4つの最新研究成果
ここでは本題の腸内環境に関する最新研究4つについて紹介していきます。専門用語などはなるべく使わずにわかりやすく解説しますね。
具体的には下記の4つになります。
- 人工甘味料からの下痢を防ぐ腸内環境とは?
- 加熱殺菌され死滅したビフィズス菌でも抗うつ作用に効果があるとは?
- 炎症作用軽減に向けた腸内環境を整える食生活とは?
- 腸内環境を制御できる驚きの化合物、酢酸の効果とは?
これらについて一つずつ見ていきましょう。
人工甘味料からの下痢を防ぐ腸内環境とは?
慶応義塾大学での研究によると、大量の人工甘味料からくる下痢には大腸菌の有無に関係することを突き止めました。飴やガムに飲料といった食材の中に含まれる人工甘味料を大量に摂取すると、人によっては下痢に見舞われる症状が出ます。これまでの研究ではどういった違いによってこの症状が出るのかがわかりませんでした。
マウス実験では無菌状態、抗生物質の投与、大腸菌の投与の計3種で比較した結果、最後の大腸菌を投与されたマウスでは下痢が抑制されていました。大腸菌が人工甘味料を消費することで抑制につながったと述べています。
慶応義塾大学では追加の実験として、遺伝子操作によって人工甘味料を消費できないように変更された大腸菌をマウスに投与したところ、下痢の症状が復活しました。このことから、大腸菌の人工甘味料の消費が下痢抑制につながることを突き止めました。
大腸菌は感染症や炎症性疾患などにも関係しており、悪玉菌としてのイメージが強いでしょう。しかし、この研究成果に加えて善玉菌であるプロバイオティクスとしても使用されているのです。
オリゴ糖などを一度に大量に摂るとお腹が緩くなるのは大腸菌が無かったからなんですね。これからは人工甘味料を摂ってもお腹が緩くならない、つまり大腸菌も含まれているような食品の登場が期待できますでしょう。大腸菌の更なる効果検証などについても引き続き期待できます。
加熱殺菌され死滅したビフィズス菌でも抗うつ作用に効果があるとは?
藤田医科大学大学院保健学研究科の小菅愛加大学院生、國澤和生助教、毛利彰宏准教授らの研究グループでの研究によると、加熱殺菌されたビフィズス菌の投与されたマウスはストレス抑制が高く、抗うつ作用に期待できることを突き止めました。「生きたまま腸に届く」というキャッチフレーズがある通り、これまで生きていることが重要であると考えられてきました。この制限によって食品も限定的でした。
しかし藤田医科大学の研究グループでは4週間、加熱殺菌したビフィズス菌を投与されたマウスを調査しました。最初の2週間は自由な環境で、残りの2週間は慢性的に強いストレスを感じる環境下でそれぞれ生活させました。投与されなかったマウスではうつ病のリスク要因であり、ストレス環境下にて増加する成分が生成されていた一方で、投与されたマウスでは増えていないことが確認できました。
この研究成果の目玉は、これまでの飲料のみならず、加工食品を始めとしたさまざまな商品への応用が期待できる点です。これには加熱殺菌することにより食品衛生管理上扱いやすくなるためが特筆すべき点になります。
なお、ビフィズス菌に関する他の研究には森永乳業による記事があります。ここでは、認知症への機能改善作用効果について確認できたとあります。
これらのことから、ビフィズス菌について、まだまだ色んな研究成果がでることが期待できますね!加熱殺菌しても効果が得られるとなると色んな商品の販売が楽しみです。
炎症作用軽減に向けた腸内環境を整える食生活とは?
オランダの研究者たちによると、食生活と腸内環境の相関関係を調査した結果、植物性たんぱく質の摂取が消化器官の炎症を軽減・予防できる可能性を示唆しました。これまで特定の食材に関しての研究は行なわれていましたが、食生活全般に渡った調査は行なわれていませんでした。
具体的にはパン及び豆では腸内細菌における大腸菌の増殖や占有に関して負の相関(一方が増えると他方が減る)関係であることとのことです。因果(パン及び豆を摂れば大腸菌が減るという)関係かどうかは判明していないことに注意してください。
他に植物性たんぱく質の摂取は糖質分解との間に正の相関(一方が増えると他方も増える)関係であることがわかりました。
反対に、動物性たんぱく質を始めとした加工食品やアルコール、砂糖の摂取は、炎症の特徴である微生物が激しく反応してしまうことがわかりました。
これらのことからオランダの研究者たちは、食生活において豆や野菜・果物といった植物性たんぱく質を摂取することが身体にとっていい可能性があると論じています。
ちなみに炎症が激しくなると、症状としては腹痛・下痢・血便・発熱などがおこります。慢性の病気としては厚生労働省から難病に指定されているクローン病にまで発展する可能性を秘めています。
身体を作っているのは日々の食事。理解はしていても忘れていることが多いですね。しかし最新の研究でも食生活が大切であるということがわかっているので豆や野菜・果物を積極的に摂っていきたいですね。
腸内環境を制御できる驚きの化合物、酢酸の効果とは?
理化学研究所生命医科学センター粘膜システム研究チームらの国際共同研究グループによると、酢に代表される有機化合物である酢酸が腸内環境の代謝に使われる人とそうでない人の差を調査しました。この結果、大腸菌の存在が不可欠であることが示されました。
これまでの知見では、代謝に使われる人には酢酸が免疫グロブリンA(通称IgA)の分泌と結合とが行なわれることがわかっています。この分泌と結合が腸内環境を整えることに繋がっています。
マウスへの酢酸投与のパターンは次の3つです。無菌状態、大腸菌を含む環境、加熱殺菌された大腸菌を含む環境の3パターンです。無菌状態については酢酸を投与してもIgAの分泌と結合は行なわれませんでしたが、残りの大腸菌がいる環境ではどちらにおいても効果が見られました。
これらのことから研究グループでは、IgAの分泌と結合を制御するための酢酸の摂取量を変えることで、腸内環境の細菌を自在に制御できる可能性があると述べています。
腸内環境を整えるために酢の摂取量を変えることも重要であるということですね!まだまだ新しい発見があって今後にも期待です。
食生活で腸内環境を整えるまとめ
本稿ではまず腸内環境とこの重要性について簡単に整理しました。
続いて、最新の研究4つをそれぞれ解説することで、日々の食生活の重要性を改めて認識しました。特に加熱殺菌しても効果が期待できるというのは、今後の食品展開に希望を持てる成果ですね。
腸は脳からの指令がなくとも自発的に活動してくれるので、今後もしっかりと効果を発揮してもらいましょう。そのために労わりに向けた植物性たんぱく質や酢酸を始めとした食生活を取り入れていくことが肝要ですね!
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