せっせと一生懸命働いて貯金するだけの人生。そんなのは一切の無駄です。この理由と、では一体何に使うのがいいのかについて見ていきましょう。
お金を貯めることの、3つの無駄な理由
死ぬ前に人はもっと楽しい人生を歩みたかったと後悔
人は死にます。生の終着点の際に人は何を思うのでしょうか?オーストラリアで緩和ケアの看護師として働くブロニー・ウェアの著書『死ぬ瞬間の5つの後悔』では、最大の後悔が「自分に正直な人生を生きればよかった」で、次に「働きすぎなければよかった」と続きます。
これは日本でも当てはまるのです。末期患者の死を見届けてきた大津修一による著書『死ぬときに後悔すること25』には「自分のやりたいことをやらなかったこと」と「仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと」が挙がっています。
国を超えても思うことは同じということは、誰しもが抱く普遍的な考えなのでしょう。一生を働いてお金を貯めることだけに注力するのではなく、お金を使って楽しむ人生についても考えるバランスが必要ということです。
貯金したお金は生きていないと使えない
何より、死んでしまっては自分のためにお金を使うことはできません。こんな話があります。ある世界一周クルーズにて、小さな箱を両手で大事そうに抱えながら、片時も離れることなく、時には箱に向かって話しかけている人の話です。船内のベンチで休んでいる時や、ランチやディナーの食事の時もずっと一緒です。不思議で少し気味が悪いですね?
話を聞いてみると、親が叶えられなかった夢、世界一周を一緒に旅しているとのことです。実は、小さな箱というのは骨壺で、そこに親の遺骨が入っていているのです。親は家族のため、一生懸命仕事をして稼いだお金で不自由のない生活を歩んでいました。しかし、長時間の残業や年のせいもあって身体はボロボロで遂には大病を患い、入院生活を余儀なくされてしまいました。仕事を辞め残りの人生について考えることになった親は、最後に自由に世界一周旅行をしてみたいと夢を語ります。しかしこの夢は叶うことなく、親は亡くなってしまいました。親の夢を少しでも叶えてあげようと、この話の主人公は納骨を携えてクルーズに乗船していたのです。
なんとも心に響き美しい話なのではないでしょうか?でも待ってください。本当にこれでよかったのでしょうか?親が存命の間に一緒に世界一周の旅行しているほうがもっと幸福ではありませんか?親の立場からすると本当の夢を実現でき、子の立場でも親と一緒に話したり食べたりできたほうが楽しいでしょう。死んだ後には自分のためにお金を使うことができないから、生きている間に使うことが大切ですね。
年を取ると若い頃の楽しみを享受できない
定年退職してからなら自由な時間でいろんなことができると思うかもしれません。しかし、それは幻想なのです。
まず一つ目には体力が衰えています。例えば大量の荷物をバックパックに詰めて日本や世界中を旅することなど、退職後では難しいでしょう。反対に20代であれば軽々とできます。それこそ格安のホテルでの雑魚寝や、溢れんばかりの人が乗車している中での移動などは絶対的に体力を消耗してしまいます。
老化による身体能力の低下が二つ目として挙げられます。一つ目との違いは、例えば視力低下や食欲不振になります。緑で美しい自然風景を見るのが好きでも、目が悪くなっていると感動は薄れてしまいます。ほかに、現地の特産をふんだんに使った美味しい・珍しいものを食べるのが好きでも、脂っこいものが食べられない、すぐにお腹いっぱいになってしまい完食できないなら気分も落ち込んでしまいます。
最後として、年齢の経過に伴い趣味の変化が起こります。若いときにやりたいと思ったことが年を取ってからもやりたいこととは限らないのです。若いときはスポーツなど身体を動かすことをやりたいけど、人が集まらず全然できない間に自分も飽きてしまうでしょう。
これらのように自由な時間があっても趣味を行なう体力や気力が伴っていないと、そこから得られる満足度は低くなってしまいます。やりたいと思った時こそ、やるべきタイミングといえるでしょう。
お金を貯める無駄な理由のまとめ
人は未来に生きているのではなく、今のために生活しているのです。未来とは今からの生き方の延長上にあるのです。
仕事一筋で生活した最後には、もっと自由に生きればよかった、趣味の時間を増やして楽しい人生を歩むべきだったといった後悔が待っています。仕事で得た収入はたとえどれだけあっても、亡くなってから使うことはできないのです。もし「自分が亡くなった後に子供と一緒に旅行をするために貯金している」と友人から言われたら、心配になりますよね?むしろ、今一緒に旅行してあげたほうが楽しいのでは?と思うでしょう。退職後ならお金も時間もあり自由に好きなことができるかというと、それも違います。年齢を重ねると、若い頃のように新しいことに挑戦する気力や、それを継続する体力はありません。仮に実行できたとしても、そこから得られる感動は少なくなっているでしょう。
仕事をしてお金を貯金するのではなく、生きている今を最大限楽しむことこそが人生には大切なのです。
お金は長期的な思い出に繋がる経験・体験に投資すべし
モノの購入・所有から得られる幸福は一時的
楽しい人生を歩むために、お金を使うと言ってすぐに浮かぶのはモノを購入することでしょう。例えば、最新トレンドにあった洋服や最新鋭の家電機器であったり、高級ブランド品のバッグや限定品の腕時計などです。これらは購入した当時が最も幸せを感じます。
しかしこれは長続きしません。次第に所有しているのが当たり前になってしまい、そこから得られる幸福の度合いは減っていきます。加えて、二つ目以降の高級バッグや腕時計は、最初に購入して得た幸せより少なくなってしまいます。三つ目以降になってしまうといつ購入したのかさえ記憶に残らなくなってしまいます。そうしてだんだんと興味が薄れていってしまうのです。
ほかに、友人が自分のよりいい腕時計を新調したとなれば、それを妬んでしまうこともあるでしょう。隣の芝生は青く見えるものです。
これらのように人は同じ状態が続くとそれに慣れてしまい、この状態こそが普通であると認識してしまいます。モノの購入・所有から得られる幸福は、長くは続かず一過性に過ぎないのです。
お金がお金を生み出す金融商品でもない
一過性とは言え楽しい人生を謳歌できるモノを多種多様購入できるほどのお金があれば、一生楽しんで生活できると言えるでしょうか?先のバッグや時計に加えて、靴やジャケットにビンテージ物のジーパンといったファッションに関するモノや、室内でもアンティーク調の机・椅子、ソファや、テレビやパソコンに大画面のディスプレイ、高級な食器や切れ味抜群の包丁など、現代では生活を豊かにするモノで溢れています。
これらすべてを購入できるように、株式や債券といった金融商品に投資するのは有効と言えるでしょうか?確かに効果はありそうです。しかし、ある程度のところで頭打ちになります。先の例でいうと、新しいものを買い続けている状態こそが普通であると頭が認識してしまい、これ以降モノの購入による幸福は増えないでしょう。
他の理由としては、お金が少ない状態で金融商品に投資してもお金は増えないということです。これは例えば、1,000円分を金融商品に投資し、そこから仮に20倍になったとしても高々2万円にしかなりません。しかし、100万円を投資し、年利2%の利益を得た場合、同じ2万円になります(ここでは話を簡単にするため、手数料や税金を考慮していません)。ある金融商品の価値を20倍にするのと2%増やすのとでは、圧倒的に後者のほうが労力が少なく容易です。
このように金融商品への投資の際には何もよりも多額のお金を用意するところから始まります。
経験・体験からは一生楽しみを享受できる
モノでも金融商品でもなく、経験・体験にこそお金を使うべきです。ここでの経験・体験とは例えば、世界各国への旅行や豪華客船によるクルーズの乗船といった旅行のほかに、高所からのバンジージャンプ体験・雪山での毎年のスキー/スノーボードや海中でのスノーケリング・広大な青空の元の海水浴といったスポーツなど様々です。
主にこれらはたくさんのお金を使うことになりますが、投資する経験・体験には必ずしも大金である必要はありません。例えば友人と一緒に一日で琵琶湖一周やしまなみ海道往復を自転車で回る、あるいはお世話になっている人に少額のプレゼントを贈る、さらにはボランティアに参加するといった経験・体験でも大丈夫です。
経験・体験に投資するお金の大小ではありません。様々な新しい経験・体験に身を任せ、楽しい人生を歩むことが重要なのです。
ここで気になるのが、モノの所有とは異なり、これらの経験・体験自体は一定の期間で過ぎ去ってしまうことです。旅行は自宅に帰ってきたら終わります。旅行しているときからしか楽しみは得られないのでしょうか?そうではありません。むしろ経験・体験から得られる幸福や楽しさは時間を経つほど熟成されていきます。
旅行の例だと、観光名所を訪れて感じた想いや美味しい食べ物を食べた際の感動、現地の人との会話で発覚した新たな繋がりといったことを思い出すことができるでしょう。これらは自分一人でもできますし、効果的なのは他人と共有することでより強い楽しみを味わうことができるようになるでしょう。
ほかには別にうまくいった出来事だけが楽しい思い出になるのではありません。失敗したことであっても、もちろんその時は悔しさや悲しさを感じることがあるでしょうが、数年十数年も経てば笑い話として友人と楽しく会話できるようになります。
所有し続けるモノからの幸福や楽しみは一時的なものですが、反対に一時的でしかない経験・体験からのそれは今後の人生を豊かにしてくれるでしょう。加えてそれは、いつでもどこでも、しかもお金も不要なのです。
楽しい人生になるように今の生活を楽しみ、経験・体験に投資したくさんの思い出を作りましょう
お金を貯めるために仕事をし続けることが無駄な理由を3つ挙げました。
- 国に関係なく、死を前にすると人はもっと楽しい人生を歩めばよかったと後悔する
- お金を貯めても死んだ後には自分のために使えない
- 老化により、若い頃より楽しさが減っていってしまう
では、お金は何に使うべきかというと、人生を楽しくする経験・体験にです。これらは実際に経験・体験しているときのみならず、その後の人生においてずっと楽しさを得ることができるのですから。
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